ゼンハイザー HD 560Sは、開放型ならではの広がりと、音を細かく確認しやすいバランスの良さが特徴的な有線ヘッドホンです。
実際に聴いて最初に感じたのは、ドライで乾いたような、さっぱりした音でした。低音も高音もきちんと出ていて、どこかだけが極端に強いというより全体のバランスが良く、単体で聴けば解像度も高いと感じます。
ただし、普段使っているLETSHUOER S12 Proのような高解像度イヤホンと比べると印象は少し変わりました。S12 Proの細かな音の見え方に慣れていると、HD 560Sは思っていたほど解像感が強くなく、少しこもったように感じる場面もあります。
この記事では、HD 560Sの外観や付属品、音質、装着感、音漏れなどを実機で確認し、FiiO FT1やBose QuietComfort Ultra Headphones(第1世代)とも比較します。スペックだけでは分かりにくい、実際に使って感じた違いを中心に紹介していきます。
HD 560Sの基本スペックと付属品
まずはHD 560Sの基本仕様を確認します。公式仕様では、ダイナミック型の開放型ヘッドホンで、インピーダンスは120Ω。周波数特性は6Hz~38,000Hz、重量は約280gです。
現在の公式情報では標準ケーブルは約1.8mの3.5mmプラグで、6.3mm変換アダプターが付属します。HD 560S本体はバランス接続にも対応しており、ゼンハイザー純正の互換4.4mmバランスケーブルも用意されています。
開封と付属品
パッケージを開けると、HD 560S本体、着脱式ケーブル、変換アダプターなどが入っています。付属品はシンプルですが、自宅の据え置き環境で使うには十分です。
| 項目 | HD 560S |
|---|---|
| 形式 | ダイナミック・開放型 |
| 装着方式 | オーバーイヤー |
| インピーダンス | 120Ω |
| 周波数特性 | 6Hz~38,000Hz |
| 音圧レベル | 110dB(1kHz / 1Vrms) |
| 重量 | 約280g |
| 標準ケーブル | 約1.8m・3.5mm |
| 変換アダプター | 3.5mm→6.3mm |


HD 560Sの外観・各部をチェック
デザインは比較的シンプルで、派手さよりも実用性を重視した印象です。イヤーカップ外側は大きく開いた構造で、見た目からも開放型であることが分かります。





1.8mのケーブルは据え置きで使いやすい
実際に使っていて便利なのがケーブルの長さです。約1.8mあるため、パソコン周りや据え置きのDAC・アンプにつないだときも取り回しに余裕があります。
机のすぐ横に再生機器を置く場合は余ったケーブルが気になることもありますが、少し離れた場所から使えるのは便利です。持ち運ぶより、自宅でじっくり使う方が合っています。
HD 560Sを実際に聴いた音質レビュー
HD 560Sの音をひと言で表すなら、私には「ドライで乾いた、さっぱりした音」に聴こえました。
低音・中音・高音のどこかだけを強く押し出す感じではなく、全体のバランスは良好です。低音もしっかりあり、高音も出ていますが、厚みや響きを大きく足すタイプではありません。
開放型らしい広がりを感じられる
密閉型のように音が耳の近くへ集まる感覚は弱く、左右や周囲へ自然に広がるような聴こえ方があります。単体で聴けば音場にも余裕があり、開放型ヘッドホンらしい広がりを感じられます。
一方、「開放型だからドライな音になる」とまでは言えません。HD 560Sを実際に聴いた私の印象が、ドライ・乾いた・さっぱりという方向だったと考えるのが自然です。
低音・高音を含めて全体のバランスがいい
ドライな音ではありますが、低音が足りないという印象ではありません。低域にも存在感があり、高域もきちんと聴こえます。どちらかを極端に強調するより、曲全体をバランスよく聴かせるタイプです。
単体で聴けば解像度は高い
楽器の細かな音や背景の音も追いやすく、HD 560Sだけを聴いていると解像度は高いと感じます。音が重なった場面でも、それぞれの音を確認しやすいのは良いところです。
| 項目 | 実際に感じた印象 |
|---|---|
| 音の傾向 | ドライ・乾いた・さっぱり |
| 低音 | 量感はあるが過度に強調しない |
| 高音 | しっかり出ている |
| バランス | 全体的に良好 |
| 解像度 | 単体では高い |
| 音の広がり | 開放型らしい広がりを感じる |
| 余韻・響き | FT1よりすっきり |
S12 Proと比べると解像感の印象は変わる
HD 560S単体では解像度の高いヘッドホンだと感じますが、普段使っているLETSHUOER S12 Proと聴き比べると評価は少し変わります。
S12 Proは14.8mmの平面磁気ドライバーを搭載したイヤホンで、公式でも高いディテール再現性を特徴として挙げています。実際に使っていても細かな音がかなり分かりやすく、私にとって解像感の基準が高くなっているイヤホンです。
そのS12 ProからHD 560Sへ替えると、HD 560Sも十分細かい音は聴こえるものの、「思っていたほど解像感は高くないかも」と感じます。S12 Proに比べると輪郭が少し柔らかく、わずかにこもったように感じる場面もありました。
ただし、これはHD 560Sの解像度が低いという意味ではありません。イヤホンとヘッドホンという違いもあり、S12 Proは細部が近くはっきり見えやすい一方、HD 560Sは開放型らしい広がりを含めて全体を聴く感覚があります。
| 比較 | HD 560S | LETSHUOER S12 Pro |
|---|---|---|
| 単体で感じる解像度 | 高い | 非常に高く感じる |
| 細かな音 | 十分追いやすい | より輪郭がはっきり感じる |
| 音の広がり | 開放型らしい広がり | イヤホンとしては広いが音が近い |
| 比較したときの印象 | 少しこもって感じることがある | 細部が見えやすい |
装着感は柔らかいが側圧は強め
イヤーパッドが耳に当たる部分は柔らかく、触れた感触は心地よいです。公式でもベロア製イヤーパッドを採用し、接触部分の柔らかさを特徴として挙げています。
ただし、実際に装着すると想像していた以上に締め付け感がありました。特にメガネをかけた状態では、フレームがこめかみ付近に押し付けられて長時間使うと痛くなることがあります。
イヤーパッドが柔らかいことと側圧が弱いことは別です。メガネを使う人や側圧に敏感な人は、可能なら購入前に試着することをおすすめします。

開放型なので音漏れには注意
HD 560Sは開放型なので、密閉型のように音をイヤーカップ内へ閉じ込める構造ではありません。実際に使っていても外への音漏れはあります。
家族が近くにいる場所や静かな職場、電車などには向きません。基本的には、自宅など周囲を気にせず使える環境で楽しむヘッドホンです。
接続と鳴らしやすさ|標準ケーブルは3.5mm
HD 560Sのインピーダンスは120Ωです。ゼンハイザー公式ではDACやアンプは必須ではないものの、アンプの恩恵を受けられると案内しています。
標準付属ケーブルは3.5mmなので、私が4.4mmバランス接続で使っている機器と比べると、手持ち環境では出力に少し物足りなさを感じることがありました。
ただし、これは「HD 560Sは4.4mmに対応していない」という意味ではありません。本体はバランス接続に対応しており、純正の互換4.4mmケーブルもあります。また、3.5mmと4.4mmで得られる出力はDAC・アンプ側の設計によって異なるため、端子だけで音質や駆動力が決まるわけではありません。

FiiO FT1と比較|ドライとウェットでかなり違う
HD 560SとFiiO FT1を比べると、私には音の方向性がかなり違って聴こえます。
HD 560Sはドライで乾いた、さっぱりした音。対してFT1は密閉型で、残響感やリバーブのような響きを感じやすく、柔らかくウェットな印象です。
FT1は公式仕様で32Ωの密閉型ヘッドホンで、3.5mmと4.4mmの2本のケーブルが付属します。私の環境では4.4mm接続をそのまま選べる点も使いやすく感じています。
どちらが上というより、好みが分かれる比較です。私は柔らかさや響きがある音が好きなので、純粋な好みではFT1の方を選びます。一方、余韻を増やしすぎず、開放感のある音をすっきり聴きたいならHD 560Sが合います。
| 比較項目 | HD 560S | FiiO FT1 |
|---|---|---|
| 形式 | 開放型 | 密閉型 |
| 音の印象 | ドライ・乾いた・さっぱり | 柔らかい・ウェット・響きがある |
| 余韻 | 比較的すっきり | 残響感を感じやすい |
| 音の広がり | 自然に広がる | 密度と響きを感じやすい |
| 標準接続 | 3.5mm | 3.5mm/4.4mm |
| 個人的な好み | すっきり聴きたいとき | こちらの音の方が好み |

Bose QuietComfort Ultra Headphones(第1世代)と比較|迫力と空間オーディオの違い
比較するBoseは、2024年7月14日に購入した「Bose QuietComfort Ultra Headphones(第1世代)」のホワイトスモークです。2023年に登場したモデルで、現在販売されている第2世代とは異なります。
HD 560Sと聴き比べると、私にはBoseの方が迫力が段違いに感じられます。特に低音の量感が大きく、音に包まれるような感覚があります。ただ、低音が強すぎると感じることもあり、長時間聴くと耳が疲れやすい印象です。

Bose Immersive Audioの広がりとHD 560Sの開放感は別物
初代QuietComfort Ultraには「Bose Immersive Audio」という空間オーディオ機能が搭載されています。音が目の前へ広がるように処理する機能で、私にはHD 560Sより没入感が高く感じられました。
ただし、HD 560Sの広がりは開放型の構造による自然な聴こえ方で、Boseはデジタル音響処理による空間表現です。音場の広さを同じ基準で単純比較するのではなく、異なる楽しみ方として捉えるのが適切です。
迫力と没入感を楽しむならBose、低音の強調が少ない音をじっくり長時間聴くならHD 560S。私の場合は、用途によって使い分けたい2台です。
| 比較項目 | HD 560S | Bose QuietComfort Ultra(第1世代) |
|---|---|---|
| 構造 | 開放型・有線 | 密閉型・ワイヤレス/ANC |
| 低音 | バランス重視 | 量感と迫力が強い |
| 音の広がり | 開放型らしい自然な広がり | Immersive Audioによる立体的な表現 |
| 長時間の聴きやすさ | 低音では疲れにくい印象(側圧には注意) | 低音の強さで疲れることがある |
| 個人的な使い分け | 自宅でじっくり聴く | 迫力・没入感を楽しむ |
HD 560Sの良かった点・気になった点
良かった点
- ドライでさっぱりした音が聴きやすい
- 低音・高音を含めて全体のバランスがいい
- 単体で聴けば解像度は高い
- 開放型らしい自然な広がりを感じられる
- イヤーパッドが柔らかく耳に当たる感触が心地よい
- 1.8mのケーブルが据え置き環境で便利
- 低音を強調しすぎず長時間聴きやすい
気になった点
- 想像していたより側圧が強い
- メガネをかけて長時間使うと痛くなることがある
- 開放型なので音漏れする
- S12 Proと比べると解像感が弱く、少しこもって感じることがある
- 標準付属ケーブルに4.4mmプラグはない
- FT1のような柔らかい響きやウェットな音が好きな人には好みが分かれる
HD 560Sはどんな人におすすめ?
HD 560Sは、迫力や重低音を強く足すより、全体をバランスよく、開放感のある音で聴きたい人に合うヘッドホンだと思います。
おすすめしやすい人
- ドライでさっぱりした音が好き
- 低音・高音のどちらかに偏りすぎない音を求めている
- 開放型らしい音の広がりを楽しみたい
- 細かな音を確認しやすいヘッドホンが欲しい
- 自宅の据え置き環境で使いたい
- 強い低音より長時間の聴きやすさを重視したい
購入前に確認したい人
- メガネをかけたまま長時間使う
- 側圧の強いヘッドホンが苦手
- 周囲への音漏れを避けたい
- S12 Proのような輪郭の鋭い高解像度感を最優先したい
- 重低音の迫力や密閉型らしい厚みを求めている
まとめ|HD 560Sはドライでバランスが良く、開放感を楽しめる1台
HD 560Sを実際に使って一番印象に残ったのは、ドライで乾いたような、さっぱりした音です。低音・高音を含めた全体のバランスは良く、単体で聴けば解像度も高く、開放型らしい自然な広がりも感じられます。
ただ、普段使っているLETSHUOER S12 Proと比べると、細かな音の輪郭はS12 Proの方がはっきり感じられました。HD 560Sへ替えると少しこもったように感じることもあり、何と比較するかによって解像度の印象は変わります。
FiiO FT1と比べると、HD 560Sはドライでさっぱり、FT1は柔らかくウェットで響きがあるという違いがありました。私はFT1の音の方が好みですが、すっきりした音と開放感を重視するならHD 560Sにも明確な良さがあります。
Bose QuietComfort Ultra Headphones(第1世代)は低音と迫力がかなり強く、私には広がりや没入感も上に感じられます。その反面、長時間では低音の強さが疲れにつながることもあり、ゆっくり聴き続けるならHD 560Sの方が使いやすいと感じました。
装着面ではイヤーパッドは柔らかいものの側圧は強めで、メガネを使う人は注意が必要です。音漏れもあるため使う場所は選びますが、自宅で開放型らしい音を楽しみたい人には候補にしやすいヘッドホンです。




